カメルーン共和国の法人・会計監査・税労務等の基本情報

1. 国家基本情報

首都

首都:ヤウンデ
公用語:フランス語、英語

通貨・為替

通貨:CFAフラン(XAF)
為替:1EUR=655.957XAF、1USD=590XAF

経済指標

人口:約2,900万人(2024年)
GDP規模:約510億米ドル(2024年)
実質GDP成長率:約3.5%(2024年)
一人当たりGDP:約1,737米ドル(2023年)
主要産業:原油・天然ガス、農産品(ココア、コーヒー等)、林業、鉱業
インフレ率:4〜6%程度

日本との関係

日本への輸出:約11億円(アルミニウム地金等)(2022年)
日本からの輸入:約49億円(機械類・車両等)(2022年)

1960年の独立時に日本と国交樹立。日本のODAにより道路整備や農業開発などが支援されている。

2. 法人設立制度

法人形態

OHADA統一商法に基づき、主な法人形態は株式会社(SA)と有限会社(SARL)である。他に現地支店や駐在員事務所の設置も可能である。

外資規制

原則外資100%出資の会社設立が認められており、外資規制は緩やかである。特定の戦略分野(石油・鉱業など)では事前許可や現地企業との提携条件が課される場合がある。土地の所有は外資に制限があり、長期リースで対応する例が多い。

資本金要件

SARLは事実上最低資本金なしで設立可能。SA(公開会社)は約1,000万XAFの最低資本金が必要とされる。2014年のOHADA改正で要件が緩和され、小規模企業では象徴的な金額で会社設立が可能となっている。

登記手続き

設立手続きは企業登記センター(CFCE)で一括処理される。必要書類を揃えて申請すれば、標準で約1週間で法人登記が完了する。

3. 税制度

法人税

基本税率:30%(地方税加算後の実効税率33%)

一部中小企業には27.5%の軽減税率が認められる。赤字の場合でも最低税(年間売上高の2.2〜5.5%)の納付が必要である。

付加価値税(VAT)

標準税率:19.25%

一部生活必需品に軽減税率・免税措置あり。

個人所得税

個人の給与所得は累進課税(最高税率38.5%)で課される。その他の事業所得等には定率で約33%が適用される。

その他の税金

配当・利子・使用料などには源泉徴収税(約16.5%)が課税される。この他、不動産に対する固定資産税(評価額の0.1%)、事業ライセンス税(売上規模に応じ年額課税)、印紙税・登録税、酒・たばこ等への物品税など各種間接税が存在する。

4. 会計・監査制度

会計基準

カメルーンではOHADAの統一会計制度(SYSCOHADA)が採用されている。上場企業や資本市場調達企業は2019年以降IFRS(国際財務報告基準)の適用が義務付けられており、それ以外の企業はSYSCOHADA基準で財務諸表を作成する。

監査要件

すべての株式会社(SA)は法定監査人(コミサール・オ・コント)の選任が義務である。有限会社(SARL)や簡易株式会社(SAS)も、一定規模以上(資産・売上・従業員数が所定基準超)の場合には監査人を置き監査を受ける必要がある。

登録要件

監査人や公認会計士として業務を行うには、カメルーン公認会計士協会(ONECCA)への登録が必要である。

財務諸表の提出

企業は毎決算年度終了後、財務諸表を商業登記所および税務当局へ決算期末から4ヶ月以内に提出する義務がある。大規模企業では監査済み財務諸表の提出が求められる。

5. 労務制度

雇用契約

労働契約は原則書面で締結し、雇用形態や賃金、業務内容を明示する必要がある。試用期間は最長6ヶ月まで設定可能である。

最低賃金

法定最低賃金:月額43,969 XAF(約76米ドル)(2024年2月時点)

労働時間

法定週労働時間:40時間(1日8時間

週20時間以内の時間外労働が許容され、割増賃金の支払いが義務付けられる。

解雇・退職

無期雇用契約の解雇には正当理由が必要で、勤続年数に応じた予告期間(最大4ヶ月)が定められている。企業都合による解雇では勤続年数に応じた退職手当(例:勤続1年あたり月給の20%など)を支払う必要がある。

労働争議・労使関係

労働者は労組結成と団体交渉の権利を有する。ストライキには事前予告などの手続き義務がある。労使紛争は労働監督官の調停や労働裁判所で解決が図られる。

6. 外国人進出企業向け制度

特別経済区と投資優遇

輸出志向企業向けに自由貿易区制度があり、初期10年間の法人税免除等の税制優遇が提供される。また投資促進法に基づき、一定の新規投資には関税・法人税の減免措置が適用される。

投資促進機関

投資促進庁(API)が投資関連手続のワンストップ窓口となっており、優遇措置申請の受け付けも行う。

ビザ・労働許可

外国人が就労するには就労ビザと労働許可が必要であり、企業が労働省に許可申請を行う。入国後は居住許可証の取得も必要となる。

外貨規制

CEMAC共通の外為規制により、輸出代金の一定割合を所定期間内に本国送金する義務がある。海外送金や資本移動の際には中央銀行(BEAC)の許可や申告が必要となり、配当送金・投資資金の撤収も納税証明の提出と認可取得を要する。

7. 金融・資金調達制度

銀行口座開設手続き

法人名義の銀行口座開設には登記証明書、納税者番号証明、代表者IDなどを銀行に提出する。KYC審査を経るため開設完了まで通常1週間程度を要する。

現地借入・金利水準

中央銀行政策金利:5.0%(2025年)
商業銀行の平均貸出金利:約8%(中小企業向けは更に高金利)

銀行融資は大企業に偏重し、中小企業の資金調達難が課題となっている。

送金・為替サービス

国際送金は銀行経由のSWIFT送金が主流であり、契約書や請求書の提示が求められる。為替はユーロ連動で安定しているが、高額送金には中央銀行の事前許可が必要となる。個人送金にはWestern Unionやモバイル送金サービスも利用される。

フィンテック動向

モバイルマネーが普及し、2023年時点で国内に約1,066万のアクティブ利用者がいる。電気料金や税金の支払いにも活用され、金融包摂が拡大している。政府は決済サービスの規制整備を進めており、フィンテック企業の台頭も続いている。

8. 文化・商習慣・その他リスク

契約遵守文化

契約は法的拘束力を持つが、履行遅延や債務不履行も発生し得る。裁判による解決は長期化しがちであるため、契約時に担保や違約金条項を設定することが望ましい。信頼関係の醸成も重視され、定期的な意思疎通が取引の円滑化に寄与する。

汚職・賄賂リスク

行政手続や取引に汚職のリスクが伴い、許認可取得や税務調査の場面で非公式な支払いを求められるケースがある。企業は贈賄を排除する社内コンプライアンスを徹底する必要がある。

治安・政情リスク

長期政権下で政治的安定は維持されているが、英語圏の北西・南西州では分離独立問題から武力紛争が続く。また極北州では過激派によるテロの懸念がある。主要都市は概ね安定しているものの、都市犯罪には警戒を要する。

パートナー関係構築の留意点

ビジネスではフランス語が主に使用され、英語圏では英語対応が必要となる。商工会議所や業界団体でのネットワーキングも有益である。

9. 実務上のポイント・進出のしやすさ

日系企業事例

日系企業の現地法人進出は少ない。日本製自動車や二輪車の販売代理店は存在するが、製造業などの大規模進出例は限定的である。政府開発援助(ODA)や技術協力を通じた潜在市場の育成が図られている段階である。

競争優位性・課題

カメルーンは中部アフリカの地理的要衝に位置し、ドゥアラ港を有する物流拠点かつ域内最大の市場である。インフラ水準も周辺国より整っている。

他方、官僚的な手続の煩雑さや汚職、物流コストの高さ、行政の非効率といった課題がビジネス上の障壁となる。

手続き難易度

企業設立や許認可に要する時間と労力は大きく、ビジネス環境ランキングでも下位に位置する。近年ワンストップ窓口整備や電子化が進むものの、進出に際しては現地専門家の支援を受け煩雑な手続きを乗り切ることが重要である。

専門家ネットワーク

・在カメルーン日本大使館
・JETRO

国内には国際系の会計事務所や法律事務所が存在し、進出時の相談が可能である。フランス語対応できる人材や通訳を確保し、専門家ネットワークを活用することで円滑な事業運営につながる。

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